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癌で死なないために 1

日本人全体での一番の死因は悪性新生物、つまり癌によるものです。では糖尿病患者さんの第一の死因は何でしょう。糖尿病患者さんでみてもやはり癌死が最も多いのです。もちろん動脈硬化ということで第二位、第三位の脳血管障害、心血管障害をひっくるめてしまえばこちらの方が多くはなりますが、癌死はけっしてあなどることのできないものです。糖尿病で定期的に病院にかかっているからといって油断は禁物。胃癌や大腸癌等の早期発見を行うためにはやはり検診やドックは有用なのです。癌年令になったら地域や職場の検診を積極的に受けるように心がけましょう。

1,肺癌で死なないために

肺癌の検診と称して胸部レントゲン写真がよく撮られます。しかし、実は肺癌検診としての胸部レントゲン写真の有用性はいまだ証明されていません。胸部レントゲン写真では肺癌の早期発見は非常に困難であり、見つかったときはすでに手遅れ、ということが多いからです。ヘリカルCTというCT検査でチェックすると早期発見が可能な場合がありますが、医療経済的にもすべての方の早期肺癌発見目的でこのヘリカルCTを用いるのは適当ではないでしょう。肺癌発症のリスクの高い方、つまりヘビースモーカーの方や身内に肺癌の方がおられる、といった方でこうしたCT検査を行うのがよいでしょう。ただし、こうした早期発見のための検査は病気を治す医療とは違いますから、保険診療の範疇には入りません。自費診療となりますのでかなりコスト高となるのは避けられません。

もっとも簡単に「肺癌で死なない」ためにできることは禁煙です。肺がんの最大の危険因子である「喫煙」を中止すれば随分肺癌死から遠ざかることができるのです。
最近では禁煙をしようと思い立った方について禁煙パッチなどを用いてサポートを行うことができます。しかしまず禁煙の成否は禁煙をどれだけ強くイメージできるかにかかっています。禁煙を思い立ったのはどうしてか、禁煙した場合にはどんないいことがあるか、家族はどんなに喜んでくれるか。タバコに費やさなくて済むそのお金で何ができるか、等々。

つい先日国際禁煙デー(5月30日)でしたが、その日の朝刊各誌に「喫煙は従来考えられたよりもっと多くの臓器の害を及ぼす。そして65歳以上で禁煙しても決して遅すぎはしない」ということが書かれていました。禁煙は肺癌ばかりでなくその他の多くの癌から遠ざかるもっとも手っ取り早い手段であることを知っていただきたいと思います。

ご希望があれば胸部レントゲン検査、喀痰細胞診の検査を当院で実施できますし、更に安佐市民病院でのCT検査を当院から予約することが可能なことを付記しておきます。

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