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PET(ペット)による癌検診をご存知ですか?

今回は最近のトピックスであるPET(ペット)を用いた癌検診についてお書きしましょう。皆さん、PET(ペット)ってご存知でしょうか?PETはPositron Emission Tomography(ポジトロンエミッショントモグラフィ)の略で、日本語で言うと陽電子断層撮影装置といいます。もともとPETは1、血流の状態や、2、代謝の状態を見たりするために大学などの研究機関で用いられてきた高度の検査装置でした。このPETが注目を集めるようになったのは、それを癌検診に使用しうる可能性が論じられるようになってからです。癌は正常の細胞に比較して、より活発に増殖をしています。そのためより多くのエネルギーが必要であることから、癌組織には正常組織より多くのブドウ糖が取り込まれます。ブドウ糖に類似した同位体であるFDGという物質をPETに応用することで、癌の早期発見や進展の度合いがわかるとされ、癌検診に用いることができると考えられるようになったのです。このPETという装置はCTやMRIのように、大きい病院ならどこにでもあるという代物ではありません。実は今まで広島地域には無く、このたび広島市で初めて中電病院に設置され、この7月1日から稼動することになったのです。先日中電病院で行われました説明会に参加しましたので、そのエッセンスをお届けしましょう。

まず、PETですべての癌が見つかるか、ということについて。この検査は早期の癌を見つけるのに非常に有効な検査ではありますが、(一説には、通常の検診の10倍見つかるといわれます)1cm以下のものは機械の限界で写らない場合があります。また描出が苦手な部位があります。たとえば薬が腎臓を経て尿中に排泄されますので腎臓とか膀胱に癌があってもよくわからないことがあったり、前立腺癌でも膀胱と区別が難しかったりします。その他、肝臓癌や胃癌などはそれぞれ超音波検査や内視鏡検査のほうが適しています。

侵襲に関してですが、薬を投与するために静脈注射が行われますが、通常のCT検査と同様特別に苦しいことはなく、わずかに放射線被曝がある程度です。これは自然界から1年の間に受ける量と同程度ですから心配な量ではありません。

最後にそのコスト。
PETは今のところ高額です。検診ですから、当然ながら保険診療ではないので全額自己負担です。1回のPETのみの検査(ベーシックコース)で110,000円、その他、胃カメラや腫瘍マーカーの検査と組み合わせて行うスタンダードコースで140,000円から150,000円くらいのようです。リピート割引や家族割引、団体割引といったものも設定されています。悪性腫瘍が強く疑われる場合や、すでに悪性腫瘍の診断が確定しておりその治療法の選択や治療効果の判定に用いる場合、保険診療の範囲で行える場合があります。その場合でも30,000円くらいの自己負担が必要となりそうです。

今回のテーマを当初「癌で死なないためにパート4」としようと考えていました。しかし、このPETはまだ、そこまで一般的な癌死予防のツールではないように思います。またかえって検査結果に振り回されることも多いかもしれません。
しかしながら、このPETによる癌検診を受けてみたいとご希望の方がおありでしたら、中電病院での検査予約をお取りすることは可能ですので外来時にお申し出下さい。

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