糖尿病関連情報

歯周病と動脈硬化 (2005.3.15)

今回は一回「癌で死なないために」をお休みして、歯周病と動脈硬化について書いてみようと思います。というのは、先日糖尿病関連の講演会に出席した際に、動脈硬化巣から歯周病菌が検出されることがよくあるという話を伺ったからです。
そのお話を聞いた後、それではうがいなどの簡単なことを毎日継続したら虫歯ばかりでなく動脈硬化を予防する効果があるというデータがすでに出ているかどうかを演者の先生に質問してみました。まだまだ証拠が不十分ではあるが、その可能性が高いということでした。そこで歯周病について少し調べてみました。

動脈硬化巣で検出される歯周病菌は「ポルフィロモナス・ジンジバーリス」という細菌でした。この細菌は血管内皮細胞に侵入できること、血小板の凝集を促進する(血を固まりやすくする)可能性があることがわかりました。以前から歯周病により「細菌性心内膜炎」という心臓疾患が起こりうるということは教科書的にも知られていることですから、この細菌が血流に乗って太い動脈に到達し、血管壁で炎症の原因となるということは否定できないように思いました。実際、クラミジアという肺炎を起こす微生物も動脈硬化巣の形成に関与していることがわかってきており、歯周病菌が同様の機序で動脈硬化を惹起したとしても不思議はありません。
最近は「動脈硬化は炎症である」というのがひとつの定説となっています。炎症というのは異物の侵入を排除しようという生態の防御反応ですから、血管壁に異物である微生物が存在すればその局所で炎症が起こることになります。炎症の場となるのが血管壁に取り込まれた「劣化した脂肪」でその引き金になるのが種々の微生物ということなのかもしれません。
うがいは他にも風邪やインフルエンザといった感染を予防する、高齢の方に多い嚥下性肺炎(誤飲によって起こる肺炎)を予防する、という効果があります。もちろん口臭予防といった役割もあるわけですから、皆さんに行っていただきたい健康的な生活習慣のひとつです。
どういった方法でうがいをし、どうやって消毒効果の確認を行うか、どうやって動脈硬化の予防効果を検討するか、といった点がクリアされるなら、一度かたくりの会で皆さんのご協力をいただきうがいの動脈硬化予防効果を研究してみるのも有意義かな、と思っています。

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