糖尿病関連情報

「インスリン」というライフラインに滞りがありませんように

今回の「かたくり」の原稿はH23年3月14日に書いています。ということで、この3月11日に東日本を襲った大地震・大津波について触れないわけにはいかないでしょう。東北地方太平洋沖で発生した地震ならびに大津波は東北地方の沿岸部を中心に、とんでもない甚大な被害をもたらしました。とても現実のものとは思えないような映像がテレビの画面を通して次から次へと流れてきます。この、未曾有の大災害に遭われた方に対して、心よりお見舞いを申し上げますとともに、お一人でも多くの方が救助され、一日でも早く被災された方々の生活が安定されますことを願って止みません。避難所では、多くの方が電気も水も食糧も十分でない、厳しい生活を強いられていらっしゃいます。みなさん、憔悴しきった顔のように見受けられますし、加えて明日からの東北地方がまた寒くなるという予報ですから、本当に心配です。
 避難所には持病をお持ちの方も多くいらっしゃることでしょう。健康を維持するのにお薬が必要だったり、糖尿病の方でインスリンを注射したりしている方もいらっしゃることでしょう。そういった方が、お薬を、あるいは、インスリンを十分持って避難されたかどうかが案じられます。地震発生後の津波は驚くほど早くやってきたということですから、津波から逃れるのが精一杯で、インスリン等は十分持って出る余裕はなかったかもしれません。1型糖尿病の方、あるいは2型糖尿病でもほとんど自分のインスリン分泌のない方、こうした方がインスリン注射のできない状況になったとしたら‥‥、想像するのも憚られるような思いです。阪神大震災の際にはメーカーから被災地にインスリンが提供されたのは地震発生の翌々日だったそうです。今回は被災地が比べようもなく広かったため、隈なくインスリンが届けられるにはさらに時間がかかるのでしょうか。
  日本糖尿病学会は、3月13日付けで日本糖尿病学会事務局に対策本部を設置しました。主治医と連絡が付かず、インスリン入手が困難となっている方に、連絡先として岩手医科大学や東北大学、福島県立医科大学、日立総合病院などの糖尿病専門医の連絡先をホームページに示しています。各インスリンメーカーの連絡先も示されています。
(ノボ:0120-180-363、サノフィ:0120-497-010、リリー:0120-360-605)
これらの連絡先も、まずは電話が通じて、さらには物資の搬入路が確保される必要があるわけなのですが。

 こうした天災がそうそう襲ってくるわけはありませんが、今回のような人智を超えたような事象を目の当たりにすると、今後この地球に何が起こってくるかわからないような気もしてきます。今からでもやはり日ごろの危機管理を徹底しておくのは意味のあることのように思われます。
  日本IDDMネットワークが以前作成した「1型糖尿病お役立ちマニュアル partV〜災害対応編〜」には1型糖尿病の方のための災害時の危機管理が詳しく載っています。災害時の心得帖というイメージトレーニングのためのマニュアルもあります。この冊子にあるように、平時から災害時のイメージを持っていて、もし災害が起こったら、というシミュレーションを自分の中で行っておく、そしてそのシミュレーションに沿って、必要な物品、必要な連携を準備しておくことが重要なのでしょう。
 多くの1型糖尿病患者さんがこの本をお求めになっていて、事前から危機管理を行っていただけていればよいが、と祈るばかりです。

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