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「シックデイ」 ―体調を崩した時― どうしたらいい?

高齢者糖尿病の方が爆発的に増えている、と認識されている割には、「シックデイ」というわかりにくい単語は普通に使用されているように感じます。

この「シックデイ」という単語、ご高齢の方にきちんと届いているでしょうか。
Google翻訳で「sick day」を訳してみたら、やはりそのまま、「病気の日」と和訳されました。
糖尿病自体が病気ですから、この「病気の日」という日本語では、何のことを意味しているかわかりにくいわけです。
それで、そのまま「シックデイ」と言っているものと思いますが、カタカナ日本語で言ったとしてもやはり伝わりにくいものは伝わりにくい。
シックデイを「体調を崩した時」と意訳すればわかりやすいように思います。

糖尿病の方も、いろんなほかの病気で体調を崩すことがあります。
風邪、インフルエンザ、下痢、嘔吐、発熱、腹痛、そのほか手術や骨折や怪我といった状態も「シックデイ」−体調を崩した時―です。
食欲がないからあまり食べられない、熱が高くって血糖値はむしろ高い、食べても吐いてしまった。インスリンを打っている方、内服薬を用いている方、そうした時には、インスリンや内服薬はどうしたらいいでしょう。
そういった時のための対応が「シックデイ・ルール」−体調不良時の対処法―ということになります。
今回は糖尿病の方が調子を崩したとき「シックデイ」の際にどう振る舞えばよいか、「シックデイ・ルール」を学びましょう。

シックデイの時にはストレスのため高血糖になったり、下痢や嘔吐で低血糖になったり、血糖値が乱高下しやすく特別な注意が必要です。
基本的には、まず脱水を防ぐために水分を十分に補給すること。
おかゆやうどん、スープ、汁物などの消化の良いもの、ゼリーやアイスクリームなど摂取しやすいものでも構いませんので、できるだけ食べるようにしましょう。
飲み食いが全くできない状態なら点滴が必要ですので、医療機関を受診するようにしてください。
必要な時には医療機関を受診するという態度が最も重要かもしれません。
どうしたらよいか不明の時にはクリニックか僕の携帯に電話してください。

  1. インスリン注射を行っておられる方;

    インスリン注射は絶対に止めないでください。
    食べられなくて、どれだけ打ったらいいかわからない、という方は、まず半分だけ打つ。
    それから頻回に血糖自己測定をしましょう。
    思わぬ高血糖になったりしますので、普段より多く測定する必要があります。
    まず半分打って、それでも下がらないなら、残りの半分を打ってください。
    食事のための超速効型インスリン(ノボラピッド、ヒューマログ、アピドラ)と基礎インスリンを分けて打っておられる、いわゆる強化療法の方、基礎インスリン(レベミル、ランタスやグラルギン、トレシーバといったインスリン)のほうはそのままの量で打つか、少し減量して打ってください。
    食事のための超速効型インスリンのほうは、どれだけ食べられるかわからないときには食前打ちでなく、食後打ちとしてください。
    食後に、食べた量に応じて打ちましょう。
    半分しか食べられなかったら半分だけ打つ、という風に。
  2. 内服薬の方;

    基本的に、飲み食いができないなら、糖尿病薬は服用しないようにしましょう。
    特にメトグルコという薬はシックデイの時には止めておくべき薬です(エクメットやイニシンク、メタクトといった配合剤もこれを含んでいます)。
    インスリンを出させる薬の中でDPP-4阻害薬という薬の方、これは低血糖を起こすようなものではないので、内服していただいて差し支えありません。
    膵臓を刺激してインスリンを出させるSU剤・グリニド剤といった薬は、半分以上の食事ができたなら、半分だけのむ、という風にしますが、ご自身の内服しておられるものが、どのジャンルのものかはわかりにくいと思います。
    やはり、クリニックか、僕の携帯に電話で問い合わせいただくのがよいでしょう。

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