フレイルとサルコペニア
開業以来ですから17年以上にわたりますが、この「かたくり新聞」を季刊で出してきました。
数えてみれば今回が69回目となるようです。
そのほとんどが糖尿病関連の話題を提供してきましたので、そろそろネタが尽きたかなあ、今度は何を書こうか、と今までのものを振り返って、まだお伝えできていないことがないか探してみました。
(ちなみに今まで僕が書いた記事は片岡内科クリニックのホームページでご覧いただくことができます。)
[http://www.kataokanaika.com/tpc/index_tpc.htmに「糖尿病関連情報」「その他の健康情報」として載っています。]
そのタイトルページをつらつら眺めてみると、書いてこなかったものがまだ多少はあるように思います。
そのうち、これだけはまず知っておいてほしい、というものが表記の「フレイル」と「サルコペニア」です。
カタカナ語でとっつきにくいかもしれませんが、特にご高齢の方にとっての重要なカタカナ語ですので、まずは覚えておいてくださいませ。
フレイルは日本語では「虚弱」と訳せます。
サルコペニアは「筋肉の衰え」と訳すとよいでしょう。
年を取ると立ち居振る舞いがゆっくりとしてきますね。
あまり外に出ずに家の中で過ごしてばかりだと、活動量が知らず知らずのうちに減って、筋肉も減っていく。
何をするにも「たいぎい」。
だんだん歩く速度が遅くなって、青信号のうちに道路を渡り切れなくなったりする。
運動量の減少に拍車がかかって食欲が減る。
体重が減って筋肉が落ちる。
悪循環に陥ります。
図のような悪循環で次第に生き生きとした生活が行えなくなるのがフレイル、その一因としての筋肉が減少した状態をサルコペニアというと理解してください。
- 体重減少
- 筋力(握力)低下
- 歩行速度の低下
- 活動量の減少
- 疲労感
これらのうち3項目以上あてはまれば「フレイル」として定義されています。
フレイルの悪循環
フレイルの予防には、筋肉を維持するための筋トレ(スクワットや片足立ち、踏み台昇降、水中歩行など)、それに良質の蛋白質をしっかり摂ることが大切です。
まずは動いて食欲を出すこと。
独居など、社会的孤立も広い意味でのフレイルと捉えられますので、デイサービスや百歳体操などでの仲間づくりもフレイル予防に役立つでしょう。