糖尿病関連情報

誤嚥性肺炎

以前この欄でお書きしたように、糖尿病患者さんの三大死因は1、癌 2、感染症、3、血管障害 です。
癌については皆さんに癌検診を受けられるよう、口酸っぱくお話ししていますね。
血管障害については糖尿病の慢性合併症に含まれる動脈硬化の検査は当院のウリでもあって、頸動脈エコーや運動負荷心電図などを定期的に行うことで脳梗塞や心筋梗塞といった致命的疾患を予防する一助になっているものと思います。
感染症についてですが、只今コロナ禍の真っただ中。皆さん、マスク・うがい・手洗いの励行、また三密を避ける、ということを心がけておられるでしょう。
確かに、新型コロナウイルスを予防するためのこうした習慣で、インフルエンザは昨年同期の0.01%と報告されており、ヒトからもらう感染症は明らかに減少しています。
しかし、最も多い感染症の一つである肺炎は必ずしも人からもらうものばかりではありません。自分自身が原因で起こしてしまうのがあり、その最たるものが誤嚥性肺炎です。今回はその誤嚥性肺炎についてお書きしましょう。

誤嚥性肺炎とは、口の中のばい菌をたくさん含んだ食べ物や唾液が胃の方に行かずに間違って肺の方に入って起こる肺炎です。発熱や咳が3、4日続いたり、黄や緑の痰が出たりします。診察する側として厄介なのは、この時期熱発が続くと、まずは新型コロナウイルス感染を除外する必要がある。唾液でPCR検査をして、即日結果は出ないのでその結果を待ち、翌日にPCR陰性を確認したうえで詳しい検査を行っていくことになりかねない。つまりこのコロナのご時世では、誤嚥性肺炎の診断が遅れる可能性がある、ということです。

となると、重要なのはより早期に受診すること。早めに気づくためのサインを下に掲げます。高齢者では典型的な症状が出にくいこともあるので、元気が出ない、食欲がない、体重が減った、などということがこの病気の症状だったりします。

誤嚥性肺炎の予防には、まず食べる時の姿勢は前かがみで。ゆっくりよく噛んでしっかり食べる。やはり栄養状態が重要です。
口の周りの筋肉を動かす体操や口を大きく開く発声練習も効果的です。飲み込み機能のチェックは、30秒間に唾を何回呑み込めるか試してみてください。2回以下だと嚥下機能が低下しているかもしれません。(広島記念病院の外来嚥下機能検査に紹介することも可能です)また、日々の歯磨きをしっかり行ない、口のなかの細菌を繁殖させないこと、そして肺へ運び入れないことが重要です。

お断り;毎週水曜日の中国新聞には「くらし」のコーナーに医療関係の記事が掲載されます。先月11月25日にはそこに「専門医が診る」―誤嚥性肺炎―として吉島病院院長山岡先生のインタビュー記事がありました。誤嚥性肺炎についてわかりやすくまとめてありましたので、今回その記事を一部引用させていただくこととしました。山岡先生は広大医学部の同級生でもあり、広大第二内科の同門でもあり、安易な引用を心安く許してくれるだろうと勝手に思っています。

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