糖尿病関連情報

糖質に注目しましょう

( 医師 杉廣貴史 ) 

糖尿病の血糖管理においては、食後の血糖値を上手に管理することが重要です。
食事に含まれる三大栄養素は炭水化物・蛋白質・脂質ですが、もっとも食後の血糖値に直結するのは炭水化物です。
蛋白質、脂質も血糖値に影響しますが、自分のインスリン分泌がある程度保たれている方ではあまり影響はありません。
(逆に1型糖尿病など、インスリン分泌が低下している状態であれば、蛋白質や脂質の影響も無視できないものになります。)

食事中の炭水化物量をもとに血糖管理を行っていく食事療法をカーボカウントと言います。
カーボハイドレート(炭水化物)をカウント(数える)する方法です。
炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものですが、ほぼ炭水化物=糖質と考えて差し支えありません。
カーボカウントには基礎カーボカウントと応用カーボカウントがあります。
基礎カーボカウントは、食事中の炭水化物(糖質)の量をできるだけ一定にすることで血糖値を安定させる方法です。
全ての糖尿病の血糖管理に用いることができます。
応用カーボカウントは、強化インスリン療法を行っている場合に、食事中の糖質の量に合わせて追加インスリンを調整する方法です。

糖質のみに注視するカーボカウントは、カロリーを管理する食事療法よりも簡便に実施することができます。
主食(米・パン・麺類)、イモ・カボチャ・トウモロコシなどの糖質の多い野菜、果物、菓子やジュースなどの嗜好品、調味料や揚げ物の衣に含まれる糖質といったところをカウントすれば十分で、糖質をあまり含まない食品については量を気にする必要はありません。

では糖質を摂取する量はどのくらいにしたら良いのでしょうか?
統計的には、総エネルギーの50〜55%を炭水化物から摂取している人が最も長生きしていたことが報告されています。
食事の理想形についてはまだ結論が出ていませんが、現時点ではエネルギーの半分くらいを糖質から摂取するバランスの取れた食生活にしておいたほうが良さそうです。
糖質制限をする場合でも、一食あたり、30〜40gの糖質を摂取することをお勧めします。

糖質を意識すると、食べる順番により食後の血糖値の上昇を抑えることにもつながります。
糖質の少ない野菜やきのこは食物繊維が多く、先に摂取しておくと糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の上昇を緩やかにします。
糖質よりも肉や魚を先に摂取すると、蛋白質や脂質により胃の動きが抑制されることやインスリンの分泌準備が整うことで食後の血糖値上昇を抑えることが報告されています。

一般的な日本人の食生活においては、糖質の8割を主食(米、パン、麺類)として摂取しています。
つまり、主食の糖質をきちんと把握するだけでも、食後血糖値の管理につながります。
まずは自分が普段食べている白飯が何gあるのか?量ってみるところから始めてみましょう。
米の銘柄や炊き方にもよりますが、白飯100g中の糖質は37.5g程度になります。


ページトップへ