糖尿病関連情報

血糖測定からCGMの時代へ

( 医師 杉廣 貴史 )

CGM(Continuous Glucose Monitoring、持続グルコースモニタリング)は、皮下に留置したセンサーで糖の濃度を測定し、持続的に血糖変動を知ることができる医療機器です。
血糖値≒グルコース値として用います。
CGMでは、Time In Range(TIR)という血糖管理の指標を用います。
全体の70%以上の時間で、グルコース値が70~180mg/dlの範囲に収まることを目標とします。
HbA1cは血糖値の平均を示しているだけですが、TIRは低血糖や高血糖の頻度を反映していますので血糖管理の質も示しています。

CGMには、①プロフェッショナルCGMと②パーソナルCGMがあります。
①プロフェッショナルCGM「リブレPro」は医療機関で検査として実施するもので、センサーを2週間装着し、外してから保存されたデータを解析します。
装着中にグルコース値を知ることはできません。
現在の治療が適切かどうか、隠れた高血糖や低血糖がないかを確認することができます。
低血糖を起こすなど、血糖管理が不安定であれば、すべての糖尿病の方に適応があります。
②パーソナルCGMは自分自身で現在のグルコース値を把握するための機器となり、Ⓐ間歇スキャン式CGM、ⒷリアルタイムCGM、Ⓒインスリンポンプと連動するリアルタイムCGMがあります。
Ⓐ「リブレ」はグルコース値を知りたい時に読み取り装置をセンサーにかざして測定する機器です。
血糖測定と同じ扱いになり、保険上は最も安価ですが、血糖測定と同月には処方できません。
Ⓑ「デクスコムG6」は常にグルコース値が読み取り装置に認識され、低血糖や高血糖を知らせてくれます。
Ⓒ「770G、ガーディアンセンサ3」は、インスリンポンプと連動し、注入する基礎インスリンの量を自動調整します(オートモード)。
ⒷⒸは同月に血糖測定も処方することができますが、1型糖尿病などのインスリン分泌が低下した方にしか保険適応がありません。
一方でⒶ「リブレ」は2022年4月より保険適応が拡大になり、1日1回以上インスリンを打っていれば使用可能になりました。
さらに12月からはⒷ「デクスコムG6」がⒶでも処方可能になりました。

簡単にまとめます。
まず、インスリンを打っていない方でも、低血糖が心配で1日の血糖変動を知りたい方は「リブレPro」をつけてみることができます。
インスリンを1日1回以上打っている方は、「リブレ」か「デクスコムG6」を使うことができます。
インスリンの分泌が低下していて頻回のインスリン注射を実施している方は、インスリンポンプに切り換えて「ガーディアンセンサ3」を使う選択肢もあります。
インスリンポンプと連動したオートモードは血糖管理が楽になりますが(車の運転に例えると、高速道路上だけ自動運転してくれるような感じです。)、そのぶん医療費は高額です。
「リブレ」と「デクスコムG6」は医療費が同じですので、迷われる方も多いでしょう。
機能やグルコース値の精度は「デクスコムG6」の方が優れており、使いこなせればより良い血糖管理が得られますが、人によってはリブレの方を好まれると思います。

以下を参考にして下さい。


  リブレ   デクスコムG6
 自分でグルコース値を読み取る必要がある  常にグルコース値が認識されている
 読み取らなければ何も起きない  低血糖や高血糖を知らせてくれる
 低血糖や高血糖の通知を煩わしく感じる人  低血糖や高血糖に対し早めに対応したい人
 血糖値のことを忘れる時間も欲しい人  血糖変動を把握してしっかり管理したい人
 新センサーの準備は1時間  新センサーの準備は2時間
 14日間×2で月に28日間使用可能  10日間×3で月に30日間使用可能
 センサーの再利用は不可  センサーの再利用が可能(自己責任で)
 血糖測定のサービスあり  血糖測定は自費、もしくは時々保険で
 血糖値による較正はない  血糖値で較正すればより精度が高まる


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