糖尿病関連情報

尿の悩みはありませんか?

(院長 片岡伸久朗)

尿の回数が人より多い、とお困りではないですか?

おしっこに何回も行く、という症状に大きく分けて二つの病態があります。
「頻尿」と「多尿」です。
頻尿は一回一回の量が少なくて、回数が多い。
多尿は尿の量が多いから回数が多い。
まず、頻尿から解説しましょう。

一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。
頻尿の原因としては前立腺肥大と過活動膀胱といったものが代表的です。
男性の方で前立腺が肥大すると尿の勢いが弱くなり、おしっこが近くなる。
残尿感があったり、尿漏れがあったりもする。
過活動膀胱では膀胱が広がりにくくなって容量が減るために残尿感以外は同じような症状をきたします。
70歳以上では過活動膀胱の有病率は4人に一人といわれていますので、頻尿は年のせい、ばかりではないかもしれません。
頻尿でお困りの方、一度ご相談ください。
泌尿器科への紹介もいたします。
また、膀胱炎でも頻尿になりますが、いつもの検尿の際に、尿を顕微鏡で確認して診断・治療ができます。
排尿時に違和感があるようでしたら、気軽にお伝えください。

でも、もっと多くの方が悩んでいると推定されるのが、多尿、特に夜間多尿です。
夜間多尿では、夜中に2−3回以上おしっこに起きるので熟睡が妨げられ、生活の質が低下する。
そればかりでなく、生命予後にも影響するといわれます。
夜間多尿の原因としては下記の病態が挙げられています。

1,水を飲みすぎること;
脳卒中予防として水を必要以上に飲む方がおられます。
夜おしっこに起きた時にもまた飲水する。
そのためにまたおしっこが近くなる。
夕方以降は水分摂取を少し控えめにされるのがよいでしょう。
口の渇きを感じやすいお薬も、多飲・多尿の原因となります。
特に、安定剤(睡眠導入剤〜睡眠薬)は口渇感の原因になりやすいとされています。

2,塩分の摂取が多い;
若いうちは濃い尿を日中に出すことで多めの塩を体外に出すことができますが、中高年になると尿の濃縮力が低下して昼間だけでは塩を外に出しきれず、夜中にも尿を作って塩を体外へ出そうとします。
夜間の多尿という方は一度塩分摂取量のチェックをしましょう。
高血圧の薬でアムロジピンやニフェジピンといったカルシウム拮抗薬を内服しておられる方、浮腫があるようでしたら、塩分を減らすだけでも夜間尿は減るかもしれません。

3,心不全傾向の方;
昼間は立っていると尿の量は減少し、循環血液量が増え、足に水が溜まりやすくなります。
寝た状態では心臓に血液が返ってくるため、心臓が弱っている方は日中の尿量が少なめで、夜が多尿となります。
BNPという血液検査を行うことで心不全傾向の有無をチェックすることができます。

4,睡眠障害のある方
睡眠時無呼吸症候群は、夜間の無呼吸、いびき、日中の眠気という症状が特徴的です。
睡眠が浅いと何度も夜中に起きておしっこに行きたくなる。
これらの症状に心当たりのあって頻尿の方、当院で睡眠時無呼吸症候群の検査を行うことが可能です。

5,抗利尿ホルモンのリズムの乱れ:
通常はADHという下垂体の抗利尿ホルモンの分泌は夜間に高まって夜中の尿の産生を抑えてくれています。
理由ははっきりしていませんが、このホルモンの分泌が夜間になぜか低下している方があるようです。
夜間多尿があって、ほかの原因が考えにくいような場合には、寝る前に抗利尿ホルモンを補うことで改善する可能性があります。

尿の悩みはなかなか人には伝えにくいものかもしれませんが、非常に多くの人の問題であり、生活の質にも直結しますので、心当たりのある方はご遠慮なく診察室で相談なさってください。


ページトップへ