【糖尿病関連情報】あなたの骨は大丈夫?

(副院長 杉廣貴史)

 冬は寒さで筋肉がこわばる上に、積雪や凍結した路面で滑りやすく、転倒・骨折のリスクが高い季節です。高齢者に介護が必要となる原因として、「認知症」、「脳血管疾患(脳卒中)」に続き、第3位に「転倒・骨折」がランクインしています。健康で自立した生活を続けるためには、転倒を防ぎ、骨折をしないことが大切です。

転倒・骨折の防止

普段から筋力、バランスを維持する運動を心掛けて、転倒しにくい身体づくりをしておきましょう。一般的に気温が3℃以下になると路面は凍結し始めます。常に天気予報はチェックしておきましょう。積雪や凍結した路面の時には外出を控えることが理想ですが、なかなかそうもいきません。外出する時は滑りにくい靴底の靴を履きましょう。そして、両足の幅は広めで、靴の裏全体を路面につけるようにして、小さい歩幅で歩きます。イメージは「ペンギン歩き」です。雪の日は、車や人で踏み固め磨かれた路面、横断歩道の白線やマンホールの上が滑りやすいので注意が必要です。手には物を持たず、手袋をして、ポケットに入れないようにすることで、バランスがとりやすくなり、もし転倒した時でも頭部へのリスクを減らすことができます。頭部を保護するためにニット帽などをかぶっておくことも有効です。

丈夫な骨づくり

転倒しても折れにくい丈夫な骨を目指しましょう。乳製品や小魚、きのこ類を食べることでカルシウムやビタミンDを摂取しましょう。また日光を浴びることでも、体内でビタミンDが生成され、カルシウムの吸収が促進されます。負荷がかかることで、骨をつくる細胞が活発になり骨が強くなるので、適度な運動を行いましょう。

糖尿病と骨粗鬆症

 骨の密度が低下し、病的に骨折しやすくなった状態が骨粗鬆症です。①椎体(背骨の一部)もしくは大腿骨近位部(足の付け根側)に脆弱性骨折(立った姿勢からの転倒など、軽微な外力による骨折)を認める場合、②その他の部位に脆弱性骨折があり、骨密度がYAM(若い人の平均値)の80%未満の場合、③脆弱性骨折はないが骨密度がYAMの70%以下の場合に骨粗鬆症と診断されます。糖尿病は骨粗鬆症と骨折のリスクを高めますが、さらに2型糖尿病よりも1型糖尿病においてそのリスクは顕著となります。大腿骨近位部の骨折は動けなくなるため、要介護や寝たきりにつながりやすい骨折ですが、そのリスクは2型糖尿病で1.3~2.8倍、1型糖尿病で3~7倍と報告されています。血糖値を下げるインスリンには、骨をつくる細胞の増殖を促す働きもあるため、骨形成にも欠かせないホルモンです。したがってインスリン分泌能の低下やインスリン抵抗性があると、骨形成が抑制され、骨が弱くなってしまうと考えられています。

骨粗鬆症の診断と治療

 まずはご自身の骨密度を把握しておくことが必要です。健診や他院で受けられた検査結果のある方はご持参ください。骨粗鬆症の疑いがある場合は、当院でも検査は可能です。骨粗鬆症と診断された場合は、薬物治療を行わないと骨密度の回復は困難です。ガイドラインでは、椎体・非椎体・大腿骨近位部骨折の全てに対して抑制効果を有する、デノスマブ、ビスホスホネート(アレンドロン酸、リセドロン酸、ゾレドロン酸)、ロモソズマブが推奨されています。ロモソブマブは既に脆弱性骨折がある場合や骨密度の低下が著しい場合に用いられる薬剤で当院では実施しておりません。ビスホスホネートは内服や注射など様々な投与形態があるのが強みですが、骨に蓄積性があり、5-10年で変更を検討する必要があります。当院ではデノスマブ半年毎注射を選んでいる方が多いです。どの治療も中止すると効果がなくなるため、生涯継続する必要があります。骨粗鬆症にならないように、血糖値の管理を含め、早期から骨を意識した生活習慣を心掛けましょう。